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免責不許可事由とは?自己破産できない確率と失敗ケース解説

自己破産の免責不許可事由6つを解説!裁量免責してもらえるケースって?

最終更新日 2022/9/12
執筆者:福谷陽子(元弁護士)

 

この記事の執筆者福谷陽子(元弁護士)福谷陽子(元弁護士)
京都大学法学部卒。在学中に司法試験に合格、2004年弁護士登録。その後、弁護士として勤務し、2007年、陽花法律事務所を設立。女性の視点から丁寧で柔軟なきめ細かい対応を得意とし、離婚・交通事故・遺産相続・借金問題など様々な案件を経験。現在は10年間の弁護士の経験を活かしライターとして活動。

自己破産をすると、「すべての借金をチャラにしてもらえる」と思っている方が多いでしょう。しかし実は自己破産をしても借金を免除してもらえないケースがあります。それは「自己破産の免責不許可事由」がある場合です。
 
具体的にどういった場合に「自己破産の免責不許可事由」と判断されてしまうのか、また免責不許可事由があっても例外的に「裁量免責」によって免責してもらえる(借金をチャラにしてもらえる)ケースについて、みていきましょう。
 
自己破産2回目だけど自己破産できるかな?などこれから自己破産をしようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

自己破産の免責不許可事由とは?

免責不許可事由とは?自己破産の免責不許可事由とは、該当すると「免責」を受けられなくなる事情です。
 
「免責」とは、裁判所が破産者の借金やその他の負債を免除する決定です。免責を受けられなかったら、借金や未払い家賃、奨学金などの負債はすべて残ってしまいます。
 
借金はなくならないのに財産などはほとんどすべて失うことになるので、免責を受けられないなら自己破産してもまったく意味がありません。
 
自己破産をするときには「免責不許可事由」がないか、事前に検討しておくことが非常に重要といえるでしょう。

免責不許可事由になる代表的な9つのケース!自己破産できない場合とは?

免責不許可事由になる代表的な9つのケース自己破産の免責不許可事由は、破産法252条1項で定められています。以下に該当すると、免責不許可事由ありと判断される可能性があります。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

 
また、裁判所のホームページにも、債務者に次のような事由(免責不許可事由)があるときは,免責が認められないことがある旨の記載があります。
 
以下に、裁判所ホームページから抜粋してみました。

 

① 破産手続や免責手続において虚偽の説明・陳述をした場合
② 浪費やギャンブルによって負債を増やした場合
③ クレジットで購入した商品をすぐに換金して負債を増やした場合
④ 財産を隠したり,価値を減少させるような行為をした場合
⑤ 支払能力について,債権者を欺いた場合
⑥ 過去7年以内に確定した免責許可決定を受けている場合
※ ただし,免責不許可事由に該当する行為があった場合でも,その程度が軽微であれば,事案によっては,裁量により免責が認められることもあります。

 
以下で詳しく解説します。

免責不許可になる事例1:浪費、ギャンブル、投資、投機

パチンコ一般的に「浪費やギャンブルをしていたら自己破産できない」といわれているのを、聞いたことのある方も多いでしょう。
 
浪費やギャンブルは代表的な免責不許可事由の1つです。またFX投資や仮想通貨取引などの投資や投機行為も免責不許可事由とされます。これは、裁判所で記載されている不許可事例の②に当たります。

・パチンコ
・パチスロ
・競馬
・競輪
・競艇
・宝くじ
・高級ブランド品の購入
・収入に見合わない旅行や飲食
・株式投資
・FX投資
・仮想通貨投資
・先物取引
・信用取引

 
こういったことが原因で借金してしまった場合には、「免責不許可事由あり」と判断される可能性が高いと考えましょう。

免責不許可になる事例2:一部の債権者にのみ返済(偏波弁済)

自己破産では、「すべての債権者を平等に扱わねばならない」という基本的なルールがあります。これを「債権者平等の原則」といいます。
 
それにもかかわらず一部の債権者を特別扱いして支払をしてしまうと、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として免責不許可事由に該当してしまいます。
 
偏頗弁済になりやすいのは以下のようなパターンです。

・戚や友人などの個人の債権者にのみ支払う
・車を失いたくないので、車のローンを一気に完済する
・家を追い出されたくないので、未払い家賃を一気に支払う
・保証人に迷惑をかけたくないので、一気に支払う
・携帯やスマホを利用停止にされたくないので一気に支払う

 
家賃や携帯代などをまとめ払いしたいときには、自己判断せずに弁護士や司法書士に相談してからにしましょう。

免責不許可になる事例3:虚偽の債権者名簿を提出

自己破産ではすべての債権者を対象にしなければならないので、一部の債権者を手続きから除外し、個別にこっそり支払うのは禁止されます。
 
それにもかかわらず、一部の債権者を除外するなどして虚偽内容の債権者名簿を提出すると、免責不許可事由と判定されます。上記裁判所記載の例であれば、①に該当します。
 
ただしこれは「わざと」虚偽の債権者名簿を提出した場合に限られます。うっかりして漏れてしまった場合や、長期にわたって請求がなかったので忘れていた場合などには免責不許可事由になりません。

免責不許可になる事例4:本当は支払えないのに支払うフリをして借入

破産申立前の1年間に「詐術」を用いて借り入れをすると、免責不許可事由と判断されます。
 
詐術とは「本当は支払える状態ではないのに、支払うフリをして相手をだまして借り入れること」です。
 
たとえば借金で火の車になっていて返済できる状況ではないとわかっているのに、新たな借入を申し込んで貸付を受けた場合などが該当します。
 
業者からお金を借りて一度も返済しないまま自己破産を申し立てると、「詐術」と判断される可能性があります。上記裁判所記載の例であれば、⑤に該当します。
 
なお免責不許可事由になる「詐術」は、支払能力や支払意思に関する偽りに限定されます。これらと無関係な方法で相手からお金をだまし取っても詐術になりません。
 
一般的な意味で「詐欺」になる場合でも必ずしも破産法上の「詐術」とは評価されないので、注意しましょう。自分では判断がつかないときには弁護士などの専門家に相談してみてください。

免責不許可になる事例5:7年以内に自己破産や一部の個人再生を利用した

自己破産は、人生で何度行ってもかまいません。2回目以降の自己破産も可能です。
 
しかし前回の免責決定が確定してから7年以内にあらためて自己破産を申し立てると「免責不許可事由」とされてしまいます。前回の自己破産からは7年が経過してから破産申立をしましょう。これは、上記裁判所記載の例であれば、⑥に該当します。
 
また以前に個人再生をした場合でも自己破産が制限されるケースがあります。

 

・個人再生のハードシップ免責(※)を適用した
・給与所得者等再生を利用して負債を完済した

 

※「ハードシップ免責」とは、再生計画が認可された後、病気やリストラ等で再生計画どおりに返済することが困難になった場合、過去に返済金額の4分の3以上の返済を行っていたときは,その残りの借金の支払義務の免除を受けることができること。

 
上記のどちらかに当てはまる場合、もととなった個人再生の「再生計画認可決定が確定したとき」から7年間は免責を受けられません。免責不許可事由と判断されます。

個人再生の場合、ほとんど免責不許可事由にならない

なお「以前に個人再生したら7年間は自己破産できない」という意味ではないので誤解しないようにしてください。
 
以前に利用したのが小規模個人再生であれば、ハードシップ免責を適用していない限り自己破産に制限はありません。
 
個人再生を利用する場合「小規模個人再生」が大多数です。またハードシップ免責を適用する事例は極めて少数です。以前に個人再生をしていても、ほとんどの方が自己破産で免責を受けられるので心配しすぎないようにしましょう。

免責不許可になる事例6:財産隠し、毀損

自己破産するときには、破産者に一定以上の財産があると現金化して債権者への配当に回さねばなりません。
 
しかし財産を失いたくないので、財産を隠そうとする人がいます。たとえば親族名義に変えたり仮装譲渡したりするケースが典型です。また債権者に配当するくらいなら壊した方がマシだと思い、毀損したり贈与してしまったりする人もいます。上記裁判所記載の例であれば、④に該当します。
 
このように、財産を隠したり壊したり処分したりすると、免責不許可事由に該当するので、やってはいけません。

免責不許可になる事例7:クレジットカードの現金化、不当な債務負担

破産手続きを遅らせる目的で不当な債務を負担する場合にも免責不許可事由になります。
 
たとえばクレジットカードの現金化をしたり、高金利の闇金で借金をしたりする場合が典型例です。上記裁判所記載の例であれば、③に該当します。

免責不許可になる事例8:帳簿の隠滅、偽造、変造

売上げ台帳や決算書など、自己破産時の調査に必要な書類を隠したり書き換えたりすると、免責不許可事由と判断される可能性があります。上記裁判所記載の例であれば、①に該当します。

免責不許可になる事例9:裁判所や管財人に協力しない

破産者は、裁判所や破産管財人の業務に協力しなければなりません。裁判所から情報照会されたら応える義務がありますし、破産管財人による換価作業にも可能な限り協力すべきです。
 
それにもかかわらず裁判所や管財人による質問や資料提出の依頼を無視したり、管財人の業務を妨害したりすると免責不許可事由と判断される可能性があります。上記裁判所記載の例であれば、①に該当します。
 
きちんと自己破産で借金を0にしてほしければ、裁判所や管財人からの依頼事項には誠実に対応しましょう。

まとめ

自己破産ができない免責不許可の9つの場合とは?
  1. 浪費、ギャンブル、投資、投機での借金
  2. 一部の債権者にのみ返済
  3. 虚偽の債権者名簿を提出
  4. 本当は支払えないのに支払うフリをして借入
  5. 7年以内に自己破産や一部の個人再生を利用した
  6. 財産隠し、毀損をした
  7. クレジットカードの現金化、不当な債務負担
  8. 帳簿の隠滅、偽造、変造
  9. 裁判所や管財人に協力しない

裁量免責とは?自己破産ができない免責不許可になる確率は?

裁量免責とは免責不許可事由があると、絶対免責されないわけではありません。実はほとんどのケースにおいて「裁量免責」によって免責されます。
 
「裁量免責」とは、免責不許可事由があっても裁判所の判断により、免責してもらえることです。過去の統計データによると、免責不許可になっているのはわずか0.1%前後となっています。

自己破産ができない免責不許可になる確率は?

2020年の日本弁護士連合会の調査によると、最新の2020年の調査結果では、有効データ1240件のうち、不許可件数は0件、つまり不許可確率は0%となっています。3年毎の調査ですが、過去の調査結果を以下にまとめました。

免責申立の結果 20年調査 17年調査 14年調査 11年調査 8年調査 平均
許可 96.85% 96.77% 96.44% 96.67% 97.85% 96.91%
不許可 0.00% 0.57% 0.00% 0.08% 0.17% 0.16%
却下・棄却 0.16% 0.08% 0.24% 0.08% 0.08% 0.16%
取り下げ 1.37% 2.34% 2.75% 2.11% 1.57% 2.02%
死亡終了 0.32% 0.08% 0.32% 0.24% 0.08% 0.20%
不明 1.29% 0.16% 0.24% 0.65% 0.25% 0.51%

 
取り下げや却下等を含めても96.85%は免責を受けられているので、心配しすぎる必要はありません。あの北村弁護士も最終的にはギャンブルでの借金でも裁判所が余程のことがない限り免責決定してくれる。とお話しされています。
 

 
こうした状況からすると、ギャンブルや浪費をはじめとする免責不許可事由があっても、さほど恐れる必要はないといえるでしょう。

免責不許可に本当になりやすい2つのケースは?

免責不許可になりやすいケースは?それでは数少ない免責不許可になってしまうのはどういったケースなのでしょうか?

免責不許可に本当になりやすいケース1:以前と同じ免責不許可事由がある

以前もギャンブルで自己破産して裁量免責してもらったのに、また同じようにギャンブルで借金してしまった場合などには、免責不許可となる可能性があります。

免責不許可に本当になりやすいケース2:免責不許可事由が極めて悪質

免責不許可事由が極めて悪質(借金額が異常に多く本人がまったく反省していないなど)な場合、免責不許可とされる可能性があります。

同時廃止ではなく管財事件になる可能性が高いケースは?

管財事件になる可能性がある免責不許可事由があってもほとんどのケースでは裁量免責してもらえます。ただし自己破産の手続きが「管財事件」になる可能性が高くなるので注意しましょう。
 
管財事件とは、破産管財人がつく自己破産手続きで、同時廃止よりも費用も高くなり、手続き面も複雑、期間も長い間かかることになります。同時廃止や管財事件など自己破産の種類については、こちらの記事が詳しいです。

特に費用面に関しては、最低20万円程度の管財予納金も発生するので、負担が非常に重くなります。予納金の金額は裁判所によって異なる可能性があるので、どのくらいの費用がかかるのか具体的に知りたい場合には、地域の弁護士や司法書士に質問してみてください。
 
免責不許可事由があると、管財人が破産者を観察して免責してよいかどうかをしっかり検討する必要があるので、管財事件になるのです。管財人に誠実な態度をとらないと免責不許可の意見を出される可能性があるので、慎重に対応してください。

免責不許可となったらどうしたらいいのか?2つの対処法

免責不許可となったらどうしたらいい?2つの方法
もしも以前にも同じような免責不許可事由があって裁量免責してもらった経緯があるなどで、今回は裁量免責してもらえそうもない場合、どうすればよいのでしょうか?
 
この場合、任意整理や個人再生をすれば解決できる可能性があります。

免責不許可となった時の対処法1:任意整理する

任意整理は、各債権者と個別に交渉し、借金の総返済額や返済方法を決め直す手続きです。
 
任意整理には免責不許可事由に該当する制限がありません。浪費やギャンブルなどの問題行動があっても問題なく利用できます。
 
カードやリボ払いなどの借金がかさんでいるなら、有効な解決方法となるでしょう。
 
任意整理についての詳しい説明は、こちら!


 

免責不許可となった時の対処法2:個人再生する

個人再生は裁判所に申立をして借金を大きく減額してもらい、原則として3年で返済する手続きです。個人再生の場合にも免責不許可事由に相当する制限はありません。
 
ただし以前に給与所得者等再生を利用していて再度給与所得者等再生を利用する場合などには、自己破産と同様に「7年間の期間制限」が適用される可能性があります。
 
個人再生の場合、自己破産と違って財産がなくならないなどのメリットがたくさんあります。ある程度支払能力があるなら、個人再生を検討してみてください。
 
浪費やギャンブルなどの免責不許可事由があっても、ほとんどのケースでは免責を受けられるのでさほど心配する必要はありません。
 
万一免責を受けられなくても、借金問題を解決できる他の方法があります。返済が苦しくなっているなら、まずは一度弁護士や司法書士に相談してみましょう。
 
個人再生についての詳しい説明は、こちら!

自己破産で相談するならおすすめの弁護士・司法書士ランキング

自己破産で相談するなら、裁判所を介する手続きとなるため、弁護士事務所をおすすめします。
 
前出の日本弁護士連合会の2020年の調査結果によると、自己破産処理で弁護士が代理人となっている場合が、90.56%と非常に高く、司法書士に依頼している場合が、7.58%となっています。
 
やはり裁判所を通す手続きのため、司法書士より弁護士に依頼するケースがかなり多いようです。特に直近の動きでは、司法書士に依頼する方、代理人なしで手続きをする方の数が年々減少し、代理人として弁護士を選ぶ数が多くなっていることがよくわかります。

代理人の有無 20年調査 17年調査 14年調査 11年調査 8年調査 平均
代理人が弁護士 90.56% 86.91% 84.11% 79.09% 72.46% 82.62%
代理人なし 0.73% 1.29% 2.66% 4.21% 11.15% 4.00%
司法書士に依頼 7.58% 10.66% 13.06% 16.53% 16.23% 12.81%

 

この記事の編集者

債務整理相談ナビ編集部

本記事は債務整理相談ナビを運営する株式会社cielo azul編集部が企画・編集を行いました。

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