債務整理とは?債務整理するとどうなるかをメリット・デメリットで解説
債務整理とは何か?債務整理のメリットやデメリットを理解することで、債務整理をするとどうなるか?債務整理後どうなるか?をある程度想像ができるようになります。
債務整理の種類ごとに、メリットやデメリットをわかりやすくお伝えします。
目次
- 1.債務整理とは?債務整理の意味をわかりやすくいうと・・・
- 2.債務整理の4つの種類
- 3.債務整理全体に共通するメリット・デメリット
- 4.任意整理とは?メリット・デメリットは?
- 5.個人再生とは?個人再生のメリット・デメリット
- 6.自己破産とは?自己破産のメリット・デメリット
- 7.任意整理・個人再生・自己破産完全比較
- 8.過払金請求とは?過払い金返還請求のメリット・デメリット
- 9.債務整理にかかる期間はどれくらい?
- 10.債務整理で相談するのにおすすめは?弁護士?司法書士?徹底比較
- 11.債務整理をすると周りにバレる?家族には?職場には?
- 12.日本の世帯別借入金の状況について(2019年)
- 13.債務整理で相談できる弁護士・司法書士ランキング19選
1.債務整理とは?債務整理の意味をわかりやすくいうと・・・
債務整理とは、借金整理とも言われ、その名の通り自分の借金(債務)を整理することです。具体的には、自分が背負っている借金の額を法的な手段を通じて減額、免除、あるいは借金の返済期間の延長することです。
ちょっと難解な言葉もあるので、さらに噛み砕くと、債務整理をすることによって、以下のようなことをしてもらう手続きになります。
- 支払えなくなった借金の総額を減らす
- 月々の支払額を減らす
- 返済期間を伸ばす
- 今後借金を支払えないということを認めてもらう
債務整理の具体的な方法は、大きく分けて4つあり、以下でそれぞれのメリット・デメリットを解説しながら特徴を捉えてもらいたいと思います。弁護士の解説動画もあるので、参考にされてください。
2.債務整理の4つの種類
債務整理をする具体的な種類の名前は、主に大きく分けると4つ(任意整理、個人再生、自己破産・過払い金返還請求)あります。
債務整理を検討すべき状況になった場合は、基本的には弁護士や司法書士と相談の上、上記4つの方法を検討します。
また、それぞれの解決事例を動画で説明していますので、参考にしてください。具体的な解決事例がわかるので参考になると思います。
まずは、4つの方法の説明・それぞれのメリット・デメリットの前に、債務整理という手続き全体に共通するメリット・デメリットを見ていきましょう。
3.債務整理全体に共通するメリット・デメリット
3−1 債務整理を行うメリット
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)全てに共通するメリットは、言うまでもないのですが、借金の額を減らしてもらえる、全額免除してもらえる、あるいは月々の支払いを減らしてもらえることと言えるでしょう。
債務整理によるメリットが非常に大きいです。これにより、生活を立て直すことができ、日本人としての基本的人権の生存権を保障されますし、日本国憲法に25条にある「最低限度の生活を営む権利を有する」を保証する制度だと言えます。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
3−2 債務整理を行うデメリット
債務整理のデメリットは、信用情報に事故情報が掲載され、ブラックリストとなるため、通常5年程度は、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることはできないことが挙げられます。
・今後一定の期間、ローンなどは組めない。クレジットカードも作れない。
日本国憲法では、生存権を規程していると共に、平等・公平性についても規程しています。つまり、債務者側だけがメリットがあるというのは公平性に欠けます。
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
4.任意整理とは?メリット・デメリットは?
次に、任意整理など債務整理のそれぞれの種類についてにメリット・デメリットを抑えていきましょう。詳細は、それぞれ別記事を用意していますので、そちらをご覧下さい。
4−1 任意整理とは?
任意整理とは、裁判所を通さず、直接各債権者と交渉して、将来利息や遅延損害金などを免除してもらい、また毎月の支払額も減額(支払い回数を伸ばしてもらう)してもらって、和解を組む手続きをいいます。
支払額が減る一方、裁判所を介さないので、誰にもばれずに借金整理がしやすいので、もっとも人気のある債務整理の方法です。
4−2 任意整理のメリット
メリット2:利息や遅延損害金をカットできる可能性がある
メリット3:支払い期間を伸ばして、月々の返済額を減らせる
メリット4:債務整理をする債権者を選べるので、保証人が入っているものなどを除外できる
メリット5:取り立てが止まる
4−3 任意整理のデメリット
デメリット2:信用情報に掲載される・クレジットカードが作れない
4−4 任意整理の費用の相場は?大体の平均の費用
1社あたり | 2.2万円〜5.5万円程度 |
着手金を取る場合ととらない場合で内訳は変わってきますが、トータルで弁護士や司法書士に支払う費用の相場は、1社あたり2万円〜5万円(税別)になっています。
ここに減額報酬として、減額した金額の10%を取る事務所もあります。
5.個人再生とは?個人再生のメリット・デメリット
個人再生は、裁判所を通した手続きで、借金を原則5分の1程度にまで減額できる債務整理の方法です。より詳しい解説は、以下の記事からどうぞ。
5−1 個人再生とは?
個人再生は、裁判所を通した手続きで、借金を原則5分の1程度にまで減額できる債務整理の方法です。こちらの動画で、個人再生とは?メリットやデメリットについて弁護士が詳しく解説しています。
5−2 個人再生のメリット
メリット2:ローンで支払っている家を手放さずに債務整理ができる
メリット3:ギャンブル等が原因でも手続き可能
メリット4:任意の話し合いに応じない債権者の借金も減額可能
メリット5:強制執行を停止できる
5−3 個人再生のデメリット
デメリット2:官報に掲載されたり、事故情報として記録される・クレジットカードが作れない
デメリット3:保証人がついている債権も債務整理の対象になる
5−4 個人再生の費用の相場は?大体の平均の費用
住宅ローンなし | 住宅ローンあり | |
裁判所費用 | 3〜30万円程度 | 3〜30万円程度 |
弁護士等費用 | 30〜50万円程度 | 40〜60万円程度 |
合計 | 35〜80万円程度 | 45〜90万円程度 |
個人再生は、裁判所を通した手続ですので、弁護士などの専門家へ支払う費用の他に裁判所への費用もかかります。東京では、原則として個人再生委員が選任されるので、彼らの報酬15万円〜25万円程度を裁判所に支払うことになります。
東京以外の地域は、個人再生委員が選任されないケースが多いので、その分裁判所への費用は少なくなります。
6.自己破産とは?自己破産のメリット・デメリット
自己破産とは、債務整理の種類の中で最も強力な効果があります。簡単に効果だけを述べれば、裁判所に自己破産の申立てをして、借金返済の責任を免除してもらう手続をいいます。
より詳しい解説は、以下の記事がおすすめです。
6−1 自己破産とは?
自己破産については、よく聞く話なのですが、こちらの動画で弁護士が自己破産について、メリットやデメリットについても詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
6−2 自己破産のメリット
メリット2:収入がなくても手続きができる
メリット3:取り立てがなくなる
メリット4:生活必需品など一定の財産は手元に残せる
6−3 自己破産のデメリット
デメリット2:裁判所で免責が認められない場合がある
デメリット3:保証人がついている債権も債務整理の対象になる
デメリット4:官報に掲載されたり、事故情報として記録される・クレジットカードが作れない
デメリット5:手続に多少時間がかかる
なお、自宅や車など高額な財産は没収されますが、必須アイテムである携帯電話・スマホなどであれば、強制解約されるケースはないと考えられます。詳しく解説してあります。
6−4 自己破産の費用の相場は?大体の平均の費用
同時廃止 | 管財事件 | |
裁判所費用 | 1万円程度 | 20万円程度 |
弁護士等費用 | 30万円程度〜 | 40万円程度〜 |
合計 | 35〜40万円程度 | 70万円程度〜 |
7.任意整理・個人再生・自己破産完全比較
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の減額幅 | △ 借金元本は減らず |
○ 1/5or1/10に圧縮 |
◎ 帳消し |
住宅ローン付きの家 | ◎ 住み続けられる |
◎ 住み続けられる |
△ 没収 |
一定額の財産 | ◎ 残せる |
◎ 残せる |
△ 没収 |
8.過払金請求とは?過払い金返還請求のメリット・デメリット
厳密には、債務整理の種類とは言えませんが、借金を整理、減らせる手段として過払金返還請求があります。
ただし、過払金返還を請求できる期間に時効があり、借金返済から10年なので、そろそろ期限が来るケースがほとんどだという実態もあります。
時効について詳しい解説を弁護士が行っている動画ありますので、参考にしてください。
8−1 過払い金返還請求とは?
出資法の上限金利(29.2%)と利息制限法の上限(20%)の間の金利をグレーゾーンといい、貸し手は29.2%の金利で貸していましたが、上限金利の引き下げにより、20%を超える金利は違法となりました。
その超過した金利で支払っていた金利を返還するように請求することを過払い金返還請求と言います。
金融庁の資料でわかりやすい図解があるので、ご覧ください。
8−2 過払い金返還請求のメリット
大きなリスクなく、過払金が戻ってくることが最大のメリットです。大手消費者金融の過払金返還状況についてまとめた記事も参考になります。
8−3 過払い金返還請求のデメリット
デメリット2:時効がある
デメリットもそれほど大きなものではありませんし、デメリット1に関しては、借金完済後であれば、信用情報に登録されることはありません。
9.債務整理にかかる期間はどれくらい?
期間 | |
任意整理 | 3ヶ月〜6ヶ月 |
個人再生 | 6ヶ月〜1年半 |
自己破産 | 同時廃止3ヶ月〜6ヶ月管財6ヶ月〜1年 |
10.債務整理で相談するのにおすすめは?弁護士?司法書士?徹底比較
債務整理の相談先としては、弁護士と司法書士があります。弁護士か司法書士かを検討する際明らかな違いが出るのが、①権限、②料金です。
権限面では、明らかに弁護士が最適です。権限が弱い分、料金面で言えば、司法書士が安いケースが多いです。
以下で、権限面、料金面を比較した表がありますので、相談先選びの参考にしてください。
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また、司法書士がおすすめな6つの理由という司法書士監修記事も参考になると思います。
11.債務整理をすると周りにバレる?家族には?職場には?
債務整理をすると周りへの影響はどうなるか?家族に知られるのか?内緒に行うことができないのか?職場は?など不安になることも多いでしょう。
以下で家族や職場等に債務整理の事実が知られてしまうのかについて特集しています。
12.日本の世帯別借入金の状況について(2019年)
日本の世帯別借入金を調査している厚生労働省の「国民生活基礎調査」ですが、2020年は新型コロナウイルス感染症への対応のため、中止されています。
よって、この2019年の調査結果が現時点(2021年12月5日)の最新のデータとなります。決して古いデータではありません。
12−1 全世帯の借入状況
日本の全世帯別を見ると、1/4程度しか借金をしていないように見えますが、これは、全世帯だからです。
マイホームやマイカーなど大きなお金が必要になる世代では、半分以上の世帯が借金を抱えていることがわかります。それが、11ー2のグラフです。
12−2 児童がいる世帯の借入状況
子供がいることで、今までよりも大きな家や車が必要になるケースが増えてきます。その結果、このグラフでもわかるように、借金を抱える世帯が半数を超え、借金額も大きく増えていることがわかります。
最後に、年齢別の借金額についてのグラフをご覧ください。
12−3 年齢別世帯の平均借入状況
このグラフでよくわかるのが、やはり30歳、40歳で家族が増え、生活スタイルが変化したことにより、借入額が増えるもの50歳以降から徐々に借入額が減っていることがわかります。
どんな用途で使うために借入をしたのかはわかりませんが、日本の傾向として、30歳、40歳代は、出費が多くなるということは確かです。
決して、債務整理をされる方も借金が悪いわけではありません。当初返済できる予定で借りたものが、返せなくなっている状況になっているだけです。
債務整理で生活の基盤を整えていただけたらと願っています。